未完トンネルへ深夜散歩
Blue.2 歌詞
歌:羊文学作詞:塩塚モエカ
作曲:塩塚モエカ
いつの日か君がいなくなって、
この穴ぼこに僕一人と
なんかくだらないものを詰めて、
埋めなきゃいけない日が来るってことは
もうずっと昔からわかっていたから、
涙もでない。
流れるテレビのニュースでは
当たり前に誰かが死んでって、
僕はといえば、パンをかじる。
手を繋いで、息をとめて、
セーラー服が、時を止めた。
大人になるには早すぎた。大人になるにはまだ早く、
子供でいるには知りすぎた。
手を繋いで、息をとめて、
セーラー服が風に揺れる。
手を繋いで、息をとめて、
愛しい君の目が血に染まる朝。
朝がまたきた。空が赤く滲んでく。いつの日か君がいなくなって、
この穴ぼこを僕一人で埋めりゃいいんだって、
それくらいのこと。記憶はだんだんと色褪せて、
ニュースでは人が死んでって、
それくらいじゃ嫌だ、それくらいじゃ嫌だ。大人になるには早すぎた。
高校の標準服はセーラー服だった。制服じゃなくて、標準服。始業式とか終業式とか、入学式とか卒業式の時だけ着ればいい。
夏休みに入る前の蒸し暑い第1アリーナに想いを馳せる。デカい扇風機、「前つめて」の声。懐かしいね。終業式もう1回やりたい。
セーラー服が春の風に脱がされた後。
いつの日か君がいなくなって、
この穴ぼこに僕一人と
なんかくだらないものを詰めて、
埋めなきゃいけない日が来るってことは
もうずっと昔からわかっていたから、
涙もでない。
だけど、
この穴ぼこは一生埋まらないことをわたしは知っている。
大人になるには早すぎた。
大人になるにはまだ早く、
子供でいるには知りすぎた。
今ではあなたの部屋にある ハルチン くらいにしかわたしが居た証は残っていません。
あなたが寝ている間に読んだ、ハルチン。
本棚整理したのに残しておいてくれてありがとう。
あなたの記憶のなかに少しでもわたしは遺っているのでしょうか。
もう会いたくないし連絡しようとも思いませんが、次もし関わるようなことがあったとしたら、きっとあなたは何事もなかったかのように接してくるのでしょう。「元気だった?」「もう社会人かあ〜」「彼氏できた?」なんて言ってくるのでしょう。
そしてわたしも何事もなかったかのようにやり過ごすのでしょう。
何事もないわけなんかない。あれからずっとわたしは上手くいっていない。
別れ際に振り返って「結婚おめでとう」と言ったら、今度こそもう会うことはないドラマ。
そのときが来たらわたしはネットストーキングをやめよう。
いつの日か、いつの間にか、ネトストをやめられる日が来ますように。
この穴ぼこを埋められるほどの幸せを手に入れられますように と願うことは諦めた。
あれからずっと幸せは手に入ってないから。
わたしは埋まることのないこの穴ぼこの底を何度も何度も覗きながら、この先も生きていくんだと思います。